ここは佐々木譲が開設している備忘録ブログです。日々の暮らしと、本、映画について書いています。


by sasakijo

正視不能

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(監督/若松孝二)

気分が上向きのときでなければ観ることは無理、と思っていたので、きょうやっとこのDVDをデッキにかけることができた。
途中なのだが、やっぱり重すぎた。もう正視不能。遠山美枝子(坂井真紀)が死ぬところで停止。

この映画作品についてだけ語れたらよいのだけど、素材となった事件と分けて語ることはできそうもない。義憤のひとである若松監督がこの素材を映画化した理由もわかるし、すぐれた日本人論であるとも思う。森恒夫、永田洋子のキャラクター設定と描写に、監督の視点も立場も明快だが。

小嵐九八郎の『蜂起には至らず 新左翼死人列伝』(講談社)を以前に読んだ。27人の死んだ戦後左翼活動家の死の事情を、大部分は淡々と事実経過のみ記した作品だが、このリンチ事件については氏の筆致には感情の高ぶりがあらわだった。永田洋子への嫌悪もストレート。

わたし自身も、あの事件を永田洋子の個人的な大量殺人事件とみなして納得したい気分がある。でも、やはりそれだけではないのだろう。

拙作『警官の血』で、潜入捜査する二代目民雄の関わる事件がなぜ、この連合赤軍リンチ事件ではなかったのかと質問されたことがある。あちらのほうが、事件としては大きく、印象は強烈であり、時代を象徴するものであったのではないか、ということだった。

わたしは、潜入捜査する公安警官の仕事であれ、それが警察官として「ひとを救う」物語としたかったのだ。だから、インパクトとしては「弱い」(ひとが死ななかったのだから)事件を選んだ。リンチ殺人のほうを、エンターテインメントの素材として描くことはできなかった。

『チェ』のほうは、まだDVDは出ていないのだろうな。
[PR]
by sasakijo | 2009-04-29 23:28 | 日記