ここは佐々木譲が開設している備忘録ブログです。日々の暮らしと、本、映画について書いています。


by sasakijo

アトリエの扉を開けて

『アトリエの巨匠に会いに行く』(南川三治郎、朝日新書)
著者が世界の推理作家を訪ねた『推理作家の発想工房』(文藝春秋)はよい写真集だった。
本書は、同じコンセプトで著者が世界のアーチストを訪ねてインタビューし、その仕事場もしくは住居を写真に収めたもの。芸術新潮や週刊読書人に連載されていた。本になるのが楽しみだった。

推理作家と較べると、ここに紹介されたアーチストは変人揃いだ。推理作家たちがみなストイックで、修道僧のような、うんと悪く言っても小市民ふうの生活を送っているのに対し、アーチストはたいがい奔放、偏屈、対人関係では頑固。自宅でのインタビューには応じても、アトリエは見せないひとが大半なのだ。

アトリエが撮影できなかったアーチストについては、住居のほうをたっぷり見せてもらいたいところだ。でも新書なので、写真の点数がまるで足りない。著者は十分なだけのカットを撮っているはずだから、新書ではなく、もっと大きな体裁の本とすべきだったのではないか。大型本にできるだけの写真であり、インタビューだと思うが。

そうそう、『推理作家の発想工房』で、著者は、ディック・フランシスは自分では書いていないのでは、という疑念をさらりと書いていた。ではほんとうのライターは誰か、にという疑問についても、ヒントめいた書き方があった。あの疑念は結局無視されたままかな。それとも決着した問題なのだろうか。
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by sasakijo | 2009-06-17 23:38 | 日記