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佐々木譲の散歩地図

Google問題で取材を受ける

いわゆるGoogle問題で、共同通信の取材を受ける。和解積極賛成派はいまだに少数派だとのことで、わたしに取材申し込み。


何回か書いたことではあるが、繰り返せば。

この件は、自分の著作物が図書館に収蔵されることと、本質的には同じことである。著作物が国会図書館に収められ、閲読サービスに供されること、さらにいつかその著作物の相対的な価値が上がってマイクロフィルム化される可能性があることを承認したのなら、Googleによるスキャンを拒否する理由はない。

Googleは公立図書館ではなく私企業である、という理由による反対意見もある。しかしいまやGoogleの検索サービスはインターネットの基礎インフラである。私企業だから、ということもスキャンを拒否する理由にはならない。しかも和解はGoogleの全文スキャンを非独占的権利としている。Googleに独占されたくないのなら、危機意識を持つ関係の機関も対抗してやればよいだけのことだ。

また、じっさいにこの全文スキャンを利用するのは、研究者が大半であろう。コピー&ペーストもできない、プリントアウトは一部の図書館のみで可能、しかも有償。つまり、資料として読むのであれば、これは使えるというサービスにすぎない(現時点では、という限定的な言い方をしておこうと思うが)。一般の読者は、全文をモニター上で読むくらいなら、本を探す。

しかもそこでGoogleに利益が発生した場合はそのうちの63パーセントが著作権者に支払われる。作家、著作者にとって不利益はない。

プレビュー・サービスについては、それは読者による著作物へのアクセスの回路をより太くするものとして歓迎できる。公立図書館がより便利になった、喫茶店を併設した大きな書店が近所にできたということと変わらない。それは読者を増やし、育て、本の流通をいっそう活発なものにしてくれるだろう。

Googleのプレビュー・サービスによって本が売れなくなる、という見方がある。しかし、とびとびに全体の20パーセントがプレビューできるだけである。全体の20パーセントを読まれて、あとは読む必要なしと読者に判断されたなら、それは著作者の負けであり、その著作物がそれだけの価値しかなかったということだ。プレビューを拒むひとは、何を怖がっているのだ?

というようなことを、また少し過激な口調で語ってしまったのだ。
by sasakijo | 2009-08-06 19:03 | 日記