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佐々木譲の散歩地図

料理が共同性を救う

ひさしぶりに映画館で観た映画。
『南極料理人』(監督・沖田修一)

原作は西村淳『面白南極料理人』(新潮文庫)。抱腹絶倒のお料理エッセイであり、南極越冬体験記。

南極越冬といっても、文明の圏内、昭和基地の話ではない。ドームふじ観測拠点。海岸線にある昭和基地から一千キロ内陸、標高三千八百メートル。ということは、いま地上で考えられる最も過酷な極地、ということでもある。そこで一年半を過ごした男たち八人の物語。

描きかた次第で『遊星からの物体X』にも、『エイリアン』にもなるという状況だけれど、そうさせなかったものは、料理だ、という映画だ。料理が、息も詰まるようなむさ苦しい暮らしにささやかなうるおいを与え、人間関係を滑らかにし、共同性の崩壊を防ぐ。

海上保安庁派遣の料理人役は堺雅人。控えめだけれどプロ、という役柄。ほかの七人の隊員の描き分けもうまい。

じつは原作の西村淳さんとは知り合い。氏の料理をごちそうになったこともある。西村さんの本のレシピを参考に、料理のレパートリーをもっと増やそう。
by sasakijo | 2009-09-24 22:17 | 日記