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佐々木譲の散歩地図

『一箱古本市の歩きかた』

『一箱古本市の歩きかた』(南陀楼綾繁、光文社新書)
2005年から、東京のいわゆる谷根千エリアで始まった一箱古本市。現在はほうぼうの地方都市で、これにならったイベントが実施されているのだという。本書はこの一箱古本市のオルガナイザー、プロデューサーである著者による古本市のレポート。

一箱古本市は、扱い商品を本に特化したフリーマーケットであるから、たぶんこれ以前にも似たようなイベントは各地にあったにちがいない。関西のある町では、リュックサック古本市、のような催しが続いていると、ある街おこしのレポートで読んだことがある。しかし、本好きたちのネットワーク化を意識的に追求したイベントとしては、著者たちが育ててきたこの一箱古本市が画期的なのではないか。

じつを言うと、谷中千はわたしのもうひとつの「地元」なのだけれど、いつもタイミングが悪く、このイベントを体験したことがない。この地によく似合ったイベントと思うが。

レポートされている各地の古本市のうちでは、高遠の『高遠ブックフェスティバル』に強く惹かれる。高遠をイギリスの古本の町ヘイ・オン・ワイのような「本の町」にしようと始まったイベントなのだという。同時開催される企画も多彩だ。足を運ぶ価値がありそうな催し。アトラクション次第では、行ってみたいと思う。

本と本をめぐる世界への愛に満ちた、気持ちのよいレポートだ。
by sasakijo | 2009-11-19 23:30 | 日記