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by sasakijo

舞台版『笑う警官』の魅力

舞台版『笑う警官』の公演が終わる。
ネットでのレビューは一件目にしただけだけど、お客さんの反応は悪くなかったように感じた。好評、盛況だったと言ってよいのだろう。

原作のジャズバーのマスターを、ママに変えた設定が成功している。ママは、内部告発した嫌疑をかけられて拳銃自殺した安田という警官の未亡人。自殺したその警官は、主人公佐伯警部補の道警音楽隊での仲間同士。つまり、佐伯が津久井巡査部長を救い、彼を百条委員会に届けようとする行為には、同僚を自殺に追い込んだ組織上部への私怨を晴らすという目的もある。

佐伯の越軌行動は、弔い合戦でもあるのだ。しかし佐伯のその私怨は、佐伯自身からは語られることはない。

佐伯のこの未亡人への想いもデリケートであり、ママもまた死んだ夫の同僚であった佐伯に対して、はっきりと慕情を感じている。つまり舞台版『笑う警官』は、佐伯宏一、小島百合、ママ(中野若葉、役名は順子)の三人の大人の、淡く危うい三角形のラブストーリーでもある。

ママ役中野若葉さんが何度か佐伯に向ける切ない視線には、胸が苦しくなった。

原作では、小島百合巡査は、小柄で剣道有段者、姿勢がよく、勝気、ときどきドジ、という設定のキャラクターだった。樋口泰子さん演じる舞台版の小島百合巡査は、この原作イメージにほぼ沿っている。映画版のクール・ビューティ松雪泰子さんとはまたちがった魅力。


再演を期待しよう。
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by sasakijo | 2009-12-21 14:18 | 日記