ここは佐々木譲が開設している備忘録ブログです。日々の暮らしと、本、映画について書いています。


by sasakijo

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ポツダム宣言受諾の夏

少し前の話題なのだが、わたしは8月12日に、某政令指定都市で開催されたシンポジウムを聴きに行った。
司会、山口二郎、パネリスト、佐藤優、原田宏二、郷原信郎、魚住昭。

すでに政権交代が前提で、警察、司法制度の改革をどう進めてゆくか、それをめぐる討論。200人ほどの席が用意された会場はほぼ満員。

佐藤優が言っていた。「官僚支配の打破には、最初の三カ月が勝負です。民主党は、政権を取ったらすぐに、すべての官庁に対して一切の書類の廃棄の禁止を通達すべきです」

じっさいには選挙前から、書類を組織的に廃棄し始めたところも出てきている。きょうは霞ガ関のすべての役所が、撤退を開始したドイツ軍の司令部状態か。

このシンポジウムでは、テーマに関連する閣僚候補について、個人名も出ていた。さほど無責任な発言とも聞こえなかった。

その前8月4日には、わたしは民主党のマニフェスト発表会にも行っていた。会場となったホテルの宴会場は、450人分の席が満杯。壁際には立ち見が数十人。

とくに印象的だったやりとり。
農民運動に関わっている党員が、FTA締結を明記したマニフェストに「届いたけれども、これでは配ることもできない」と強い調子で反対意見。執行部側代表の菅直人が、この文言は誤解を与える、遅くとも今週末までに修正する、と答えていた。

報道はこんどの選挙とその結果について、「熱」「風」と表現するところが多い。選挙運動の部分だけ見るとそうなのかもしれないが、それでも小泉フィーバーに較べればかなり醒めた空気だったのではないか。たったふたつだけれど、前述の体験を思い起こすと、むしろ昨日の選挙投開票は、国家指導層の一部で粛々と進められていた敗戦処理過程の最終手続き、ポツダム宣言受諾であった、と思える。

もっとも、「祭り」と表現したほうが楽しいから、わたしも昨日は朝八時に投票所に行き、夜にはシャンパンとワインを抜いたが。
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by sasakijo | 2009-08-31 18:32 | 日記
『笑う警官』コミック版が出ます。
実業之日本社から。画はシュガー佐藤さん。10月15日刊行予定。

ということは、10月から12月にかけて、『笑う警官』のメディア・ミックス状態が面白いことに。
まず文庫版があって、シリーズ4作目の単行本『巡査の休日』刊行。そしてコミック版。11月14日から映画公開、さらに12月に舞台。
原作がメディアによってどのように語り直されるのか、それを比較して楽しむことができます。

この時期、わたしは執筆仕事とは別に忙しくなりそうだ。
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by sasakijo | 2009-08-27 21:02 | 連絡

何かが終わる夏

佐々木俊尚の新書を二冊、たて続けに読んだ。
一冊は
『仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ』(光文社新書)

30年も同じ仕事を続けていると、意識化していないにせよ、仕事のノウハウについてはかなり「自分に合うもの」を発見し、身につけてしまっている。なので最近はこの手の本を読んでも、目新しいノウハウに触れることはさほど多くはなくなった。

ただ、PCの使い勝手をよくする新しいソフトや、グーグルなどの新しいサービスについては、こうした新書で教えられることが多い。本書では、いわゆるクラウドについて少し知識を増やすことができた。

著者が実践しているノマドワーキングについては、わたしには無理だ。中途半端な時間にもなんとか原稿を書けないものかと焦り、たまにそのためのガジェットも買ったりするが、一件の原稿の量がそもそもちがう。15分や30分の時間に原稿を書こうと努力するよりも、むしろ書かないと決めて本なり資料を読むのが一番。MVペンなんて、けっきょくその後出番なしだし。

ただし、半日あれば、かなりの仕事ができる。仕事場難民となった場合、これまでわたしは編集部の会議室を借りて原稿を書くということをよくやってきた。外国で公立図書館を使ったことも何度かある。でも、喫茶店ではゲラ直しがせいぜいだ。

わたしは、仕事をするにはそれなりの環境を整えよ、というタイプ。ノマドにはなれない。


もう一冊。
『2011年新聞・テレビ消滅』(文春新書)
毎日新聞がちょうど、新聞業界に500億円の政府支援を、という主張を記事として載せたところだ(主張するのは毎日新聞社の社員ではないが)。本書が書くとおりの危機が、新聞とテレビの世界では進行中なのだろう。

ただ、中国とコスト競争で負けたわけでもない。日本語という強固な参入障壁に守られた業界なのに衰退してゆくのだから、あまり同情もできないというのが本音だ。政府支援についても、カネを受け取るようになればますます新聞の官報化が進むだけだろう。

著者は、コンテンツ、コンテナ、コンベアという概念で、新聞・テレビをめぐる環境の変化を分析する。最終章では、新聞は一次情報を提供するだけのコンテンツ・プロバイダーとなるだろう、と予測。

読者にとっても、それで十分ではないか、と思う。少なくとも、そうなったところで困る読者はいない。社会も困らない(新聞のない社会は、といった反論自体が、古いメディアの驕慢である)。


わたしの場合、新聞にはいま知りたい肝心の情報がない、という不満がいつごろから大きくなっていったのだろう。インターネット以前からであることはたしかと思う。そのころは雑誌ジャーナリズムにまだ元気があって、新聞・テレビが報道しないことを雑誌が代わって報道していた。いまは、雑誌にもそれを期待できない。

大手広告主についての悪いニュースは報道しない。官庁を刺激することはない。政治家の資質を判断するための肝心の情報も隠し通す。新聞・テレビについてのこうした認識は、たぶんわたしだけのものではない。

最近の例で言えば、中川昭一の酒癖の悪さの問題。噂でこそ耳にしてきたけれど、大手マス・メディアがこれを報じたことは一度もないはずだ。なのにあのイタリアでの会見の様子が外国メディアで報じられたあと、どっとそれ以前のエピソードが紹介されるようになった。北海道の選挙民は、投票に際して判断材料となる必要な情報さえ、マス・メディアからは提供されていなかったのだ。そんなものを情報源にしてもしかたがない、という気持ちが強くなるのは当然だ。

いっぽうで、これほどの報道が必要なのか、と思える分野の記事も少なくない。とくに毎日新聞、朝日新聞の高校野球報道は、主催者だからとはいえ、バランスを欠いて多いし、大仰だ。取材のために割かれる人的ソースも、そうとうのものになるだろう。大学で政治学やジャーナリズム論を学んできた新人社員に、高校球児たちの純粋な夢、について取材して記事を書け、と命じるのも、人的資源の浪費と思う(社内の訓練システムなど、読者にはどうでもよいことだ)。

本書はとくに指摘していないが、新聞社がイベントを企画・主催して記事を作る、というビジネス・モデルももう終わったのではないか。

ともあれ、結論にさほど衝撃を受けないことがふしぎに思えるくらいの、醒めたマス・メディア論。
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by sasakijo | 2009-08-25 21:11 | 日記

打ち上げワイン

昨日、大仕事を終えて、500枚分のファイルを送る。
粗食の日々が続いたので、避難地から札幌まで出かけ、隠れ家レストランへ。

店の名は、Φ(ファイ)。ギリシア文字。黄金比、という意味があるそうだけれど、命名の理由についてお店のひとに訊いたことはない。パスタ屋さんではないイタリアンのお店。仕事500枚分の解放感を味わってきた。
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by sasakijo | 2009-08-18 17:40 | 日記

Google問題で取材を受ける

いわゆるGoogle問題で、共同通信の取材を受ける。和解積極賛成派はいまだに少数派だとのことで、わたしに取材申し込み。


何回か書いたことではあるが、繰り返せば。

この件は、自分の著作物が図書館に収蔵されることと、本質的には同じことである。著作物が国会図書館に収められ、閲読サービスに供されること、さらにいつかその著作物の相対的な価値が上がってマイクロフィルム化される可能性があることを承認したのなら、Googleによるスキャンを拒否する理由はない。

Googleは公立図書館ではなく私企業である、という理由による反対意見もある。しかしいまやGoogleの検索サービスはインターネットの基礎インフラである。私企業だから、ということもスキャンを拒否する理由にはならない。しかも和解はGoogleの全文スキャンを非独占的権利としている。Googleに独占されたくないのなら、危機意識を持つ関係の機関も対抗してやればよいだけのことだ。

また、じっさいにこの全文スキャンを利用するのは、研究者が大半であろう。コピー&ペーストもできない、プリントアウトは一部の図書館のみで可能、しかも有償。つまり、資料として読むのであれば、これは使えるというサービスにすぎない(現時点では、という限定的な言い方をしておこうと思うが)。一般の読者は、全文をモニター上で読むくらいなら、本を探す。

しかもそこでGoogleに利益が発生した場合はそのうちの63パーセントが著作権者に支払われる。作家、著作者にとって不利益はない。

プレビュー・サービスについては、それは読者による著作物へのアクセスの回路をより太くするものとして歓迎できる。公立図書館がより便利になった、喫茶店を併設した大きな書店が近所にできたということと変わらない。それは読者を増やし、育て、本の流通をいっそう活発なものにしてくれるだろう。

Googleのプレビュー・サービスによって本が売れなくなる、という見方がある。しかし、とびとびに全体の20パーセントがプレビューできるだけである。全体の20パーセントを読まれて、あとは読む必要なしと読者に判断されたなら、それは著作者の負けであり、その著作物がそれだけの価値しかなかったということだ。プレビューを拒むひとは、何を怖がっているのだ?

というようなことを、また少し過激な口調で語ってしまったのだ。
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by sasakijo | 2009-08-06 19:03 | 日記
オリンパス・ペンE-P1を手に入れたので、先週撮ったぶんの一部を組写真にして公開する。
ありがたいことに(わたしが遅れていただけだが)、いまは個人が撮った写真もスライドショーで観てもらえるのだ。ムービーとしてYouTubeにアップすることもできる。これもそのうちに試そう。

テーマは、お散歩。スライドショーで観てください。
画像クリックでサイトに飛びます。
画像一覧画面右上のJohSasakiの部分をクリックすると、アルバム目次が開きます。


09 Summer in Sapporo
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by sasakijo | 2009-08-03 16:53 | 写真アルバム
日本ペンクラブから、機関紙P.E.N.395号が届いた。
総会報告号であり、新理事が承認されたことを伝えている。

三田誠広氏が新理事のひとりとしてあいさつしており、Google問題や、国会図書館の蔵書のデジタル化問題について語っている。このひとの著作権問題に関する立場は前からわかったつもりでいたが、このあいさつの中でさらにわかりやすい説明があった。

三田氏「それから日本文藝家協会では著作権管理をやっておりますが、これは協会に入会する必要はありません。協会に連絡していただきますと登録ができます。登録料は無料です。登録していただきますと、みんなでもらっている保証金があってそれを山分けすることになります。登録料を払う必要がない代わりに、何百円か入ってくるお金を協会に寄付していただくようにお願いしておりますので、結果的にはもらえないんですけれど、そういうものに加わっていただければ事務処理は日本文藝家協会でできるようになっておりますので、ご安心いただきたいと思います」

(「保証金」は「補償金」の誤記ではないかと思う)

要約すれば、日本文藝家協会に著作権管理をまかせると、文藝家協会がその著作権使用料を取り立てて、協会で使う。著作権者には支払わない。日本文藝家協会で「山分け」する。


以前から、このひとが語る著作権問題は、文化の保護、育成の問題ではなく、むしろ音楽業界を追いかけたビジネスの問題だと思っていた。このあいさつで三田氏は、臆面もなくそのとおりだと言っているわけだ。
「保証金(補償金?)は山分け」「結果的には(著作権者は)もらえない」 
つまり著作権者の利益を守る運動、業務ですらない。

このひとの言う著作権とはつまり、著作利権、のことなのだろう(そうでなければ、山分け、などという語が出てくるものか)。こんな人物を我がペンクラブが新理事にしたのだから、ペンクラブには日本文藝家協会のそのビジネスを歓迎する会員が相当いるということか。

世の中には「カネ以外に書くモチベーションはない」という書き手がいることはわかる。しかし、そういう書き手であれば逆に、文藝家協会で山分けさせるために、「もらえるはず」の補償金を全部協会に寄付してしまうようなことはないだろう。

それはともかく、ペンクラブの機関紙が、日本文藝家協会ビジネスの広告媒体になってしまわないとよいが。
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by sasakijo | 2009-08-03 16:01 | 日記

オリンパスのDNA

7月30日に、オリンパスの米谷美久氏が亡くなったという。多少工業技術に関心のあるひとなら、よく知っている名。海外でも有名な技術者だ。

知人が自分のブログに、こう書いていた。
「オリンパス・ペン、ペンF、OM-1、そしてXA。カメラの世界で4回もの技術革新を起こした技術者」

わたしはオリンパスのカメラを使い続けてきた。最初のカメラこそ、父が友人からもらったノン・ブランドの35ミリ・カメラだったが、初めて自分で買ったカメラは、ハーフサイズのオリンパス・ペンだ。もっぱら山岳写真を撮った。

二十代後半になって使い始めたメモ用カメラがXA(ほぼ20年使った)。仕事用の一眼レフ・カメラはOM-1。そのあとOM-4。

デジカメ移行直前には、短い期間コンタックスT2も使ったが。

米谷氏が送り出した製品を見ると、その特徴は「小型化志向の明快さと、割り切りのよさ」と言えるだろうか。追従品やただの廉価版も横行するカメラの世界で、氏が開発した製品はどれもきわめてオリジナルだった。

わたしが入手したばかりのペンE-P1も、米谷氏のセンスを継承している。もっともわたし自身は、必ずしも米谷氏の名を意識してオリンパスを選び続けてきたわけではないのだけど。
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by sasakijo | 2009-08-02 20:34 | 日記

やっと夏

ようやくこの避難地にも夏がきた。ずっと雨続きだったけれど、この三日間、日中は好天。
なのでいまのうちに紫外線を浴びておこうと、毎日散歩。

オリンパス・ペンE-P1という散歩の友ができたので、散歩の距離も伸びている。この生活を続けたら体重は落ちるだろうか。

もうひとつのブログ、運河町通信のほうに、試し撮りのお散歩写真をアップ。
http://ch01877.kitaguni.tv/
a0019702_19374571.jpg

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by sasakijo | 2009-08-01 19:28 | 日記