ここは佐々木譲が開設している備忘録ブログです。日々の暮らしと、本、映画について書いています。


by sasakijo

<   2009年 09月 ( 8 )   > この月の画像一覧

ジュウリオさんのお店

札幌に出かけたとき、わりあいよく寄るお店のひとつに、『ジュウリオ・ヴィエールチ』がある。ワインとイタリアン・フードのお店。お店の名は、イタリア人シェフのフルネームそのままなのだが、ちょっと呼びにくいので、常連さんたちは『ジュウリオさんの店』あるいは単に『ジュウリオ』と呼ぶ。

駅前通りに面したわかりやすいロケーションなので、待ち合わせにも好都合。テーブル席四つ、カウンター席が六、七という小さくてアットホームな雰囲気のお店だ。

ただ、ロケーションのよさが、ときに逆に働く。観光客が飛び込んできて「札幌ラーメン」と注文するとか、スパゲッティ専門店と勘違いしたお客が「ナポリタンできないのか」と落胆するのだという。イタリア料理のお店として、認知度はいまいちなのかもしれない。

スパゲッティ専門店ではないので、ここでパスタを注文するなら、コルゼッティ。ジュウリオさんの出身地イタリア・リグーリア地方の名物料理だという。円形にのばしたパスタを、クルミのソースにからめて食べる。

でも先日農場から札幌に出向いたとき、黒板の「本日のおすすめ」には「サンマとトマトのスパゲッティ」と書かれていた。サンマのスパゲッティなんて、まだ食べたことがない。コルゼッティの心づもりを変えて、こちらを注文した。

リグーリアでは、サンマではなく生のアンチョビを使うのだという。でもいまの季節の北海道なら、サンマを使わない手はない。

そのサンマのスパゲッティが画像。サンマ、トマト、ニンニクと白ワイン、少しパセリ。おいしゅうございました。

ジュウリオさんに了解をもらったので、お店をきちんと紹介する。
Wines & Italian Food ジュウリオ・ヴィエールチ
札幌市中央区南3西4、シルバービル2階(駅前通りの東向き、すすきの交差点から半ブロック北)
電話011-271-5923
早い時間帯は予約したほうがよいと思う。a0019702_10161826.jpg
[PR]
by sasakijo | 2009-09-27 10:15 | 日記

農場の9月

農場の9月
スライドショーでご覧ください。
sasaki farm
[PR]
by sasakijo | 2009-09-25 07:17 | 写真アルバム

料理が共同性を救う

ひさしぶりに映画館で観た映画。
『南極料理人』(監督・沖田修一)

原作は西村淳『面白南極料理人』(新潮文庫)。抱腹絶倒のお料理エッセイであり、南極越冬体験記。

南極越冬といっても、文明の圏内、昭和基地の話ではない。ドームふじ観測拠点。海岸線にある昭和基地から一千キロ内陸、標高三千八百メートル。ということは、いま地上で考えられる最も過酷な極地、ということでもある。そこで一年半を過ごした男たち八人の物語。

描きかた次第で『遊星からの物体X』にも、『エイリアン』にもなるという状況だけれど、そうさせなかったものは、料理だ、という映画だ。料理が、息も詰まるようなむさ苦しい暮らしにささやかなうるおいを与え、人間関係を滑らかにし、共同性の崩壊を防ぐ。

海上保安庁派遣の料理人役は堺雅人。控えめだけれどプロ、という役柄。ほかの七人の隊員の描き分けもうまい。

じつは原作の西村淳さんとは知り合い。氏の料理をごちそうになったこともある。西村さんの本のレシピを参考に、料理のレパートリーをもっと増やそう。
[PR]
by sasakijo | 2009-09-24 22:17 | 日記

韓国の読者

『警官の血』の韓国語版刊行に続いて、『制服捜査』『暴雪圏』も韓国語版が出ると決まりました。
これら警察小説とはべつに、『エトロフ発緊急電』もこの12月に韓国語版が出ます。
[PR]
by sasakijo | 2009-09-17 20:16 | 連絡
札幌滞在中にできるだけ多くのパフォーミング・アートを、というわけで、昨日はお芝居。
TPS『冬のバイエル』 於シアターZOO

三台のピアノ(舞台上には一台しか置かれないが)と、三組の家族の物語。
作・演出、斉藤歩。2000年が初演だそうだ。繰り返し上演されているだけの傑作。

ひとつだけ、54歳の男やもめが、二十歳になる娘にわりあい率直に自分の性生活について語る。ここが少し気になった。台詞を聞いていて緊張する。たぶんこれは、わたしが育った家庭環境からくる感じ方なのだろうが。

TPSはこのお芝居を持って、今月末からハンガリー、ルーマニア公演に出るのだという。字幕を流す方式の上演なのかな。理解されやすいお芝居とは思うが。
[PR]
by sasakijo | 2009-09-17 11:36 | 日記

ひさしぶりのコンサート

以下、メモとして。
先週はちょっと変わった演奏会に行った。
日本アレンスキー協会設立記念プレコンサート。

ロシアの作曲家アントン・ステパノヴィチ・アレンスキーをより広く日本に紹介するため、愛好家、研究者たちが協会設立。その記念のプレコンサートが、札幌であった。この日は札幌に出ていたので、聴きに。札幌サンプラザホール。
ピアノ・川染雅嗣、高橋健一郎、ソプラノ・松井亜樹、ヴァイオリン・大石和彦、チェロ・竹本利郎

プログラムは、歌曲、二台ピアノのための組曲第三番op.33、ドゥムカ~ロシアの農村風景op.59、ピアノ三重奏曲第一番二短調op.32
どれも初めて聴く曲。
そのあと関係者さんたちの打ち上げにもちょっと参加。ピアノの川染さんには、去年中標津でご紹介いただいていたこともあって。


きょうはまた札幌に出かけて、札響を聴く。札幌コンサートホールKitara。
札響with安永徹&市野あゆみ

札響と安永徹という組み合わせで聴ける幸福。室内オーケストラという編成なので、わたしが早くに確保しておいた席(前から三列目)は大正解だった。
シューベルト 交響曲第五番 変ロ長調 D485
ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第一番 ハ短調 op.35 
ハイドン 協奏交響曲 変ロ長調 op.84

ワイン抜きで帰路に着いたことだけは寂しかったが。
[PR]
by sasakijo | 2009-09-13 23:09 | 日記
『愚か者の盟約』がハヤカワ文庫で復刊されます。
親本は講談社。一九九一年。その二年後に細川政権が誕生したとき、評論家の高野孟さんが「この事態を予言した小説」と紹介してくれました。

北海道・室蘭を地盤とする二世野党議員が、政界の裏を知り尽くした第一秘書とともに政権奪取に出る、というポリティカル・サスペンス。はからずも、絶妙なタイミングでの新装版刊行となりました。
[PR]
by sasakijo | 2009-09-06 22:18 | 連絡
『無差別殺人の精神分析』(片田珠美、新潮選書)
前に『アべンジャー型犯罪―秋葉原事件は警告する』(岡田 尊司 文春新書) を読んだが、このところ類書が増えているかな。

著者は精神科医。臨床に関わる立場から、六件の無差別殺人の事例を取り上げて、犯行に至った犯人の心理過程を明らかにしようとする。取り上げられている六件のケースとは、秋葉原無差別殺傷事件、池袋通り魔殺人事件、下関通り魔殺人事件、大阪教育大池田小事件、コロンバイン高校銃乱射事件、ヴァージニア工科大銃乱射事件。

わたしがあまり報道に接していなかった事件もあった。

基本的には、裁判資料、報道資料に依った分析。著者自身が関係者に取材したというケースはない。なので、全体に情報が不足気味という印象は否めない。

また著者は、アメリカの犯罪学者レヴィンとフォックスの研究『大量殺人の心理・社会的分析』を基礎にして、彼らがまとめたパターンにあてはめて上記六件の事件を解説する。なので、これはちょっと無理があるのではないか、という主張もある。

たとえば大量殺人を引き起こす要因として、「破滅的な喪失」が挙げられるのだが、池袋通り魔殺人事件ではそれが「無言電話」であり、ヴァージニア工科大銃乱射事件の場合では英文学科教授による拒絶(事件の一年前のこと)だという。「無言電話がきっかけ」というのは、公判での犯人の供述ではあるのだが。

「破滅的な喪失」を不可欠の要因とするなら、むしろ何かべつの(知られていない)事情があったとするほうがわかりやすい。とくに池袋事件で無言電話を「破滅的な喪失」と受け止める心理は、著者の解説でも理解できない。著者はこの事件の犯人について統合失調症、と診ているが、むしろその診断のまま放り出してくれたほうがよかったようにも思うのだが。

またヴァージニア工科大銃乱射事件では、拒絶から事件まで一年の時間が開いた理由を納得させてくれない。それが必ずしも破滅的な喪失ではなかったから、犯人は一年間事件を起こさずにすんだのではないか。

事件の経緯を本書で読むかぎり、その「破滅的な喪失」は事件の二カ月前あたり、犯人が髪を刈り、拳銃を買った時期の直前にあった何かだと想像したほうが自然と思える。アメリカではその後詳しいレポートは出ていないのかな。

著者はアメリカ映画『タクシー・ドライバー』にも言及している。たしかにあの映画は、大量殺人事件の典型例を描いていたのだったと思う。公開当時は、任侠もののバリエーションとして受けたのだったが。

そうだ。わたしはあるエッセイで、秋葉原事件の犯人は大藪春彦を読むべきだったと書いた。誰かが『タクシー・ドライバー』のトラビスのことを教えてやってもよかったかもしれない。
[PR]
by sasakijo | 2009-09-06 22:16 | 日記