ここは佐々木譲が開設している備忘録ブログです。日々の暮らしと、本、映画について書いています。


by sasakijo

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よいお年を

みなさま、本年はほんとうにお世話になりました。
かつてない多忙さで、関係各方面には多大のご迷惑をおかけしました。伏してお詫び申し上げます。
来年はレギュラーの仕事に専念、なんとか少しでも仕事の遅れを挽回いたします。関係各位にも、ご理解とご協力をお願いする次第です。

よいお年をお迎えください。

佐々木譲
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by sasakijo | 2009-12-30 16:16 | 連絡

『警官の血』文庫版刊行

『警官の血』(新潮社)が文庫版として刊行されました。
新潮文庫・上下巻。それぞれ本体価格629円(消費税別)。上下巻で1,258円。

解説は吉野仁さん。

奥付の発行日は2010年1月1日になっていますが、今週末には書店に並ぶだろうと思います。
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by sasakijo | 2009-12-22 16:20 | 連絡

来年は芝居づく年

舞台版『笑う警官』公演成功を受けて、来年もお芝居への関わりが続く年になりそうだ。

『笑う警官』演出の高橋征男は、グループ虎(メンバーがみな虎年生まれ)というお芝居制作のユニットの代表格なのだけれど、わたしも一応「座付き小説家」という立場。『新宿のありふれた夜』は、実を言えばグループ虎のために書いた小説なのだ。

『笑う警官』公演が成功だったことで、さっそく高橋征男と次作の打ち合わせ。彼は来年10月、俳優座劇場でオリジナルの芝居を打つのだけど、素材は箱館戦争。スペクタキュラーなお芝居にしたいということで、『五稜郭残党伝・異聞』のような原作を書いてくれないかと打診された。

前にもご案内したとおり、『五稜郭残党伝』は劇団さっぽろが舞台化することになっている。今年は間に合わなかったので、たぶん来年の上演。わたしとしても、箱館戦争をめぐる物語はまだまだ書いてゆきたいと思っている。なのでお芝居の原作として、もうひとつ『箱館戦争異聞』を書き下ろす。日本近代化の理念と精神とを問う物語だ。

最初から舞台的演出を想定する小説なので、もしかすると少しファンタジーの要素が入った作品になるかな。
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by sasakijo | 2009-12-21 14:46 | 日記
舞台版『笑う警官』の公演が終わる。
ネットでのレビューは一件目にしただけだけど、お客さんの反応は悪くなかったように感じた。好評、盛況だったと言ってよいのだろう。

原作のジャズバーのマスターを、ママに変えた設定が成功している。ママは、内部告発した嫌疑をかけられて拳銃自殺した安田という警官の未亡人。自殺したその警官は、主人公佐伯警部補の道警音楽隊での仲間同士。つまり、佐伯が津久井巡査部長を救い、彼を百条委員会に届けようとする行為には、同僚を自殺に追い込んだ組織上部への私怨を晴らすという目的もある。

佐伯の越軌行動は、弔い合戦でもあるのだ。しかし佐伯のその私怨は、佐伯自身からは語られることはない。

佐伯のこの未亡人への想いもデリケートであり、ママもまた死んだ夫の同僚であった佐伯に対して、はっきりと慕情を感じている。つまり舞台版『笑う警官』は、佐伯宏一、小島百合、ママ(中野若葉、役名は順子)の三人の大人の、淡く危うい三角形のラブストーリーでもある。

ママ役中野若葉さんが何度か佐伯に向ける切ない視線には、胸が苦しくなった。

原作では、小島百合巡査は、小柄で剣道有段者、姿勢がよく、勝気、ときどきドジ、という設定のキャラクターだった。樋口泰子さん演じる舞台版の小島百合巡査は、この原作イメージにほぼ沿っている。映画版のクール・ビューティ松雪泰子さんとはまたちがった魅力。


再演を期待しよう。
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by sasakijo | 2009-12-21 14:18 | 日記
舞台版『笑う警官』の公演が始まりました。
演出・高橋征男、出演・及川ナオキ(佐伯宏一警部補)、樋口泰子(小島百合巡査)ら。

昨日の初日は大盛況、通路にまで補助椅子を出す状態。

同じ原作ながら、映画版はスタイリッシュ、こちらの舞台版は群像パワー劇です。原作者としても堪能しました。

土曜、日曜は満席が予想されているそうです。観るならきょう明日、マチネがよいかも。

銀座みゆき館劇場、20日まで。
お問い合わせは、現代制作舎、03-3482-3383
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by sasakijo | 2009-12-17 10:11 | 連絡
『夜を急ぐ者よ』文庫新装版。

親本は集英社86年。このたびはポプラ文庫での刊行です。
嵐の那覇のひと晩のサスペンス。解説は池上冬樹さん。
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by sasakijo | 2009-12-08 19:33 | 連絡

弘前劇場の新作

先日、弘前劇場『アグリカルチャー』を観た。作・演出、長谷川孝治。

青森版『桜の園』と書いたら失礼になるかな。

青森のとあるリンゴ農家の一族の物語。舞台はその農家の土間。その家は大学に隣接しており、下宿人も置いている。学生や大学関係者もその家の土間に気軽に現れる。その登場人物たちの津軽弁をまじえた会話を楽しんでいるうちに、その一家には秘密が、封印された悲劇が、あるとわかってくる。

家の外には樹齢百二十年のリンゴの老木があることが繰り返し言及される。観客はやがてそのリンゴの老木は、家父長的権威の象徴であり、一家の悲劇の「現場」である、と理解する。

観客が一家の秘密と悲劇のおおよその事情を察したラスト近く、舞台の外からはチェーンソーの音が響いてくる。薪割りの得意な長男が、リンゴの老木を切り倒したのだ。チェーンソーの響きは一家の世代交代を告げる音であり、古いイエが死んだことの暗喩だ。

ラスト、大テーブルを囲んで、登場人物たちができたばかりのカレーライスを食べ始める。そこにはすでに父親の姿はなく、長男は結婚、その若い妻は身ごもっている。血縁ではない者たちをも含めた、大家族が出現している。絆のありようを変化させた、新しい共同性の誕生。

タイトルから、農業と農村礼賛のメッセージ性の強い作品だろうかとも予想していたのだけれど、ちがった。また、長谷川孝治は農業と農家(と、たぶん農村社会)とを、厳格に切り離して見つめている。青森「土着」のリンゴ農家の物語ではあるが、作品全体は「養蜂家=移動する農業者」の視点から対象化されているという構造なのだ。

最後に出現する「大家族」には、「地域劇団」の理想も託されているのではないかと思う。

一家の長女は一度東京に出て教師と結婚し、その夫(休職中)と共に実家に帰ってきているという設定。この夫婦の着ているいかにも軽薄な素人漫才用ペア・セーターが、ラストでは農作業用ツナギに変わる。これを、生活に立脚した表現、についての確信の宣言、と観るのは深読みか?
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by sasakijo | 2009-12-06 22:37 | 日記
舞台版『笑う警官』、公演予定のご案内に誤りがありました。
16日(初日)は午後2時の上演ではなく、午後7時です。
訂正します。
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by sasakijo | 2009-12-02 15:31 | 連絡

韓国語版エトロフ

『エトロフ発緊急電』(新潮文庫)の韓国語版見本刷りが届いた。

わたしの作品の韓国語訳は、『警官の血』に続いて二作目。

『エトロフ発緊急電』では、金東仁(日本名・金森)という朝鮮半島出身の人物がきわめて重要な役を受け持つ。主人公のミッション達成の主要動機のひとつが、彼の存在。

NHKテレビ・ミニシリーズ『エトロフ遥かなり』では、この金東仁を新宿梁山泊の金守珍さんが演じた。戦慄すら感じるくらいの名演だった。

『エトロフ発緊急電』、韓国ではどんなふうに読まれて、どのように評価されるのだろう。
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by sasakijo | 2009-12-02 13:13 | 日記