ここは佐々木譲が開設している備忘録ブログです。日々の暮らしと、本、映画について書いています。


by sasakijo

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少し前に、ラフマニノフが1941年秋(日米開戦直前)のワシントンDCで自作交響曲を指揮した話を書いた。わたしが目にした範囲の資料では、その自作交響曲が何番であったかわからなかったとも。

日本アレンスキー協会の高橋健一郎さんから教えていただいた。3番の可能性が高いとのことだ。

3番は、一部の資料によれば41年の作曲だという(たとえばウィキペディア、ラフマニノフの作品紹介もそう記述)。しかし36年が正しいのだということが、判断の根拠のひとつ。

高橋さんが調べてくれた資料では、ラフマニノフは39年に4回(フィラデルフィア、NY)、41年の3月にはシカゴで2夜連続、3番を指揮しているという。というか、そのころラフマニノフは3番しか指揮していない。その流れであれば、41年秋のワシントンDCでも指揮したのは3番ではないか、とのことだった。

この件に触れた『ワシントン封印工作』が、この秋、文春文庫から復刊される。わたしは2番と記述してしまったので、ゲラの直しではここを3番としよう。
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by sasakijo | 2010-04-26 07:59 | 日記
長らく品切れでした初期短篇集『鉄騎兵、跳んだ』が、文春文庫から刊行されます。
奥付は5月10日ですが、ゴールデン・ウィーク末ぐらいには大手書店には配本されるかもしれません。
解説は池上冬樹氏。

表題作『鉄騎兵、跳んだ』は、オール読物新人賞受賞作。親本は、映画化に合わせて80年に刊行されました。

原作はわたしのデビュー作ですが、映画は石田純一のデビュー作でもあります。
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by sasakijo | 2010-04-25 11:57 | 連絡
昨日は推理作家協会賞の選考会。わたしは長編・連作短編部門の選考委員として出席。

候補作は
『粘膜蜥蜴』(飴村行、角川書店)
『身の上話』(佐藤正午、光文社)
『乱反射』(貫井徳郎、朝日新聞出版)
『贖罪』(湊かなえ、東京創元社)
『追想五断章』(米澤穂信、集英社)

三時間に及んだ議論のあと、二作授賞と決まった。
『粘膜蜥蜴』(飴村行)
『乱反射』(貫井徳郎)

わたしは佐藤正午『身の上話』をいちばんに推した。
佐藤正午は、日常生活とその揺らぎや小さな破綻を描くのがじつに巧い作家だと思う。本作も、「土手の柳」のような主体性のない女性が、意図しないままに自分の周囲に破綻を呼び寄せてゆく過程を描く。謎の語り口も魅力的だ。

主人公に関わる悪魔的な青年の造形に、わたしは北九州一家監禁事件のMを連想した。日常のほころびの中に、静かに、まったく常識人の顔で侵入してくる、この「絶対悪」の描写が怖い。

でも選考会では、推理作家協会賞授賞作としてはミステリ味が薄い、という意見が多数派だった。たしかに、ストレート・ノベルとしても、高く評価されてよい作品だとは思うが。

『粘膜蜥蜴』は、わたしは次点。
初めて読む種類の小説で、出だしではかなり戸惑った。でも、ラストで思いもかけない「愛」と「倫理」の物語として決着したことに呆然。いわば「妄想全開」で書かれた作品と見えたこの作品は、計算された構成と記述とを持っていたのだ。

事実上「筆力のあるアマチュアが書いた」と言ってよい、つっこみどころの多い作品だ。わたしは強く推す選考委員に、理解できなかった部分の解釈を請うたのだけど、その選考委員の言葉「この作品に整合性を求めることは無意味」。そう言われるとそうなのだが。
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by sasakijo | 2010-04-24 18:08 | 日記
札幌交響楽団定期演奏会の「フライング・ブラボー」に関して、楽団員さんと聴衆のおひとりがそれぞれ同じ感想を書いている。まったくあのブラボーは、せっかくの感動をぶち壊しにしてくれた。ご本人は、たぶんいい気なものなのだろうが。

http://caprisam.exblog.jp/
http://spitzekeigo.blog87.fc2.com/

砂川しげひささんも、たしか東京文化会館のフライング常習者についてエッセイで書いていた。楽団側と聴衆が企んで、最後にはこの人物を拉致してしまう、という過激な落ちのエッセイもあったような。

札響でもこういった会員に対して、なんらかの注意なり制裁をするということはできないものなのだろうか。

わたしはじっさいには聞いたことはないが、サントリー・ホールではプログラムよっては演奏前に、早すぎるブラボーを注意するアナウンスが入るらしい。子供じゃない、という反発が出るかな。


追記
いまためしに「札幌交響楽団」「24時間以内」という条件で検索してみたら、ざっと読んでも3人のひとが、こんどの定期演奏会のフライング・ブラボーについて書いていた。「キタラの聴衆は音楽の余韻を楽しむことを知らない」という痛烈な書き込みも。対処が必要なレベルまできているということなのだろう。
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by sasakijo | 2010-04-18 09:33 | 日記

本日新刊三作同時刊行

きょう同時刊行された書き下ろし三作について、早くもレビューが出ました。
http://d.hatena.ne.jp/oshikun/20100401/p1
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by sasakijo | 2010-04-01 22:37 | 偽日記