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by sasakijo

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昨夜は流山児事務所の『代代孫孫』を下北沢ザ・スズナリで。原作は韓国の劇作家パク・クニョン。温泉ドラゴンのシライケイタさんの脚色・演出。いわいのふ健さんはじめ、温泉ドラゴンのみなさんの出演で、グループ虎がお世話になっている近童弐吉さんも。

2013年に温泉ドラゴンの『birth』ソウルでの公演をお芝居仲間と観にいった。このとき打ち上げで、パク・クニョンさんともお酒を飲んでいる(同行した我らが女優さんにすっかり惚れ込んだ様子だったが、我らの演出家も負けじとパクさんの劇団コルモッキルの女優さんに熱心に出演を迫っていたっけ)。

韓国で上演すればこの作品はストレートな「一族の歴史」ものだけれど、シライケイタはこの原作の設定を逆転させ、台詞を完全に日本人のものに置き換えてしまった。すると、この舞台上の日本はかつて韓国の植民地であり、独立したけれども南北に分断され、ベトナム戦争にも参加した歴史を持つ、という国になる。ある種のパラレル・ワールドものという言い方もできるかもしれない。

ところが観ているうちに、この作品はパラレル・ワールドものというよりは、アクチュアルな近未来もののように見えてくる。韓国の近・現代史が、いま予想しうる日本の明日そのものではないかと思えてくるのだ。たとえばアメリカ軍後方支援で外国に派遣され精神を病んだ帰還兵の姿は、いまやけっして他人事ではない。

シライケイタ演出により、おそらくは原作者の意図を超えてヘビーな問いかけを持つことになった舞台。
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by sasakijo | 2016-06-16 11:20 | 日記