『ラスト、コーション』アイリーン・チャン
『ラスト、コーション』(アイリーン・チャン、集英社文庫)
タイトルに注意。中グロではなく、点。『LUST,CAUTION』、中国語の原題は中グロ入りの『色・戒』。抗日戦争下の上海、重慶政府派と南京政府派との暗闘を、重慶派女性スパイの視点から描いた秀作だ。
映画版のDVDを観て、いったいどんな短編からあの大作映画が出来るのか気になっていた。読んでみると、描かれる時間は、南京政府派要人の易(映画ではトニー・レオン)暗殺計画がまさに実施されようとしたその日だけ。視点はおおむね女性スパイ佳芝(ジアジー)のものだけれど、最後は易の視点で締めくくられる。
映画を観ていなければ、記述のいくつかの意味に気づかなかったろう。とくに香港のエピソードは、主人公の回想の中で簡潔に書かれているだけ。なのにあの映画を支えるだけの豊かさを持っていたのだ。逆にあの記述から、あれだけのキャラクターたちやサブ・エピソードを作ってしまった脚本家の感受性もすごい。
クライマックスの舞台となるインド人経営の宝石店の構造は、映画に描かれたとおりだった。不思議な造りなのでその点も気になっていたが、映画はじつに正確にその描写を再現していたのだ。モデルとなった店がじっさいにあったのだろう。
じつは病院の待ち時間に読むべく持っていった文庫。思いのほか待たされず、表題作しか読めなかったが、収穫だった。
タイトルに注意。中グロではなく、点。『LUST,CAUTION』、中国語の原題は中グロ入りの『色・戒』。抗日戦争下の上海、重慶政府派と南京政府派との暗闘を、重慶派女性スパイの視点から描いた秀作だ。
映画版のDVDを観て、いったいどんな短編からあの大作映画が出来るのか気になっていた。読んでみると、描かれる時間は、南京政府派要人の易(映画ではトニー・レオン)暗殺計画がまさに実施されようとしたその日だけ。視点はおおむね女性スパイ佳芝(ジアジー)のものだけれど、最後は易の視点で締めくくられる。
映画を観ていなければ、記述のいくつかの意味に気づかなかったろう。とくに香港のエピソードは、主人公の回想の中で簡潔に書かれているだけ。なのにあの映画を支えるだけの豊かさを持っていたのだ。逆にあの記述から、あれだけのキャラクターたちやサブ・エピソードを作ってしまった脚本家の感受性もすごい。
クライマックスの舞台となるインド人経営の宝石店の構造は、映画に描かれたとおりだった。不思議な造りなのでその点も気になっていたが、映画はじつに正確にその描写を再現していたのだ。モデルとなった店がじっさいにあったのだろう。
じつは病院の待ち時間に読むべく持っていった文庫。思いのほか待たされず、表題作しか読めなかったが、収穫だった。
by sasakijo
| 2009-04-18 00:39
| 本の話題

