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佐々木譲の散歩地図

Kitaraの拷問シート

札幌コンサートホールKitaraで、札幌交響楽団の定期演奏会を聴く。
尾高忠明指揮
モーツァルト交響曲41番 『ジュピター』
リヒャルト・シュトラウス交響詩『ドン・キホーテ』
チェロ 石川祐支
ヴィオラ 廣狩亮


これまでKitaraのコンサートはプログラムで選んでいたのだけど、先月から札響定期の会員となったのだ。

定期会員になると、予約の手間が省ける代わり、困った状況になっても逃れられない。
わたしの席のうしろの年配の婦人ふたりは、おしゃべり好きで、演奏が始まってもおしゃべりをやめない(小声にはなるが)。先月は3回振り返って睨んでしまった。きょうも同じ調子。『ジュピター』が始まってから睨んでやったが、おかげで集中できない。

クラシック音楽の出だしを息を詰めて聴かないで、どうするのだ?

第三楽章に入ってようやくそのひとたちのことを忘れたころ、いきなりシートがキックされた。わたしは飛び上がるほどに驚いた。たぶんひとりの婦人は眠っていたのだろう。

休憩時間が終わり、席にお着きくださいのアナウンスがあってから、わたしは場内係の女性に、空いている席に移れませんかと訊いた。二階席は三分の入り。ガラガラなのだ。でも係員は言う。「これからお客さんがくるかもしれませんから」 これからまだ来る? 本気で言っているのか? わたしは脱力して引き下がる。

『ドン・キホーテ』のチェロ独奏のパートでは、またキックが入るのではないかという不安に胸が締めつけられる。じつにスリリングな時間だった。

定期会員でなければ、同じようなことがあっても、きょうかぎりのことだからと耐えられる。でも定期会員になると、そこは拷問シート。更新するまで同じことが続くのだ。定期会員となったことを後悔している。
by sasakijo | 2009-05-29 22:39 | 日記