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佐々木譲の散歩地図

馬のいる暮らし

とあるメディアが、わたしの「馬のいる暮らし」について関心を持っているとか。
私生活を少し公開してしまったことでもあるし、馬関連の画像をアルバムにまとめてみた。

わたしが撮った写真ばかりではなく、友人たちからいただいた画像もまじっている。なのでこのアルバムの画像については、無断転載禁止ということでお願い。

土地柄、ここでは馬をペットとして飼っているひとは多い。都会で大型犬を飼うほどの飼育費なので、これはけっしてぜいたくな暮らしというわけではない。

わたし自身は、世話をする体力と時間の余裕がなくなり、馬を手放した。いま、わたしの小さな農場には馬はいない。


A life with horses
# by sasakijo | 2010-01-19 18:39

ホームページをリニューアル

公式ホームページ『佐々木譲資料館』のデザインをリニューアルしました。
まだ若干、意味のなくなった記述など残ったままですが、こういうタイミングなのでとりあえずアップです。

http://www.sasakijo.com/
# by sasakijo | 2010-01-17 08:52

直木賞を受賞しました

第142回直木賞を受賞しました。
対象作品は『廃墟に乞う』(文藝春秋)です。
# by sasakijo | 2010-01-14 21:30

『サードウォッチ』第二シーズン

『サードウォッチ』(制作ジョン・ウェルズ)第二シーズンを観終わる。

WOWOWで放映が始まったとき、何話かだけ観ていたシリーズ。そのときから、ニューヨークの現場系公務員(警察、消防、救急)群像劇であるこのシリーズのコンセプトに共感していた。

第一シーズンのDVDが出たときに買って観て、あらためてその質の高さに感嘆。先日(といっても半年ぐらい前になるのかな)第二シーズンのDVDが出たので購入、週に一話ぐらいのペースで観て、やっと観終えた次第。シーズン6まで制作されたシリーズだそうだけれど、日本でのDVD発売はこの第二シーズンまで。続きを観ることができないのが残念。

ジョン・ウェルズは大傑作テレビ・シリーズ『ザ・ホワイトハウス』のプロデューサーでもある。たいした人物だ。

第一シーズンの前半は、新人黒人巡査のデイビスの成長譚がメイン・ストーリーだったように思う。トーンも全体に明るめで、演出も少しコミカルなところがあった。でも後半からほかの登場人物たちのエピソードの比重が増え、少しずつシリアスさの度合いも増していった。

第二シーズンは、全体ではとても暗い。レギュラー登場人物である救命士のひとりは殺され、その射殺現場にいたもうひとりの救命士はPTSDから回復できないまま休職中。べつの救命士は女性医師との恋が破綻し、ひとりの消防士の結婚もあっという間に終わる。女性警官は生活苦から三人目の子供を中絶。偏見だらけで軽い青年警官も、その生い立ちの悲惨さを明らかにされる。

シーズンの最終エピソードは、中学生による銃乱射事件。いじめが理由とはっきり示される。珍しく、ストレートな社会批判の台詞で終わった、救いのない話だった。

とりあえず事件は一話ごとに解決する。あるいは決着をみる。でも、さほど大きなカタルシスがあるわけではない。むしろ、やりきれなさを感じる終わりかたのほうがはるかに多いという作り。だからといって、不満を感じさせることはなかった。

シーズン最終話を観終えたあと、強いお酒を少しだけ飲みたくなった。DVDを止めたあと、近所の静かなバーの片隅でシーズン全体のエピソードを思い起こしながら一杯、というのが、理想的だったかもしれない。近所に適当なバーなんてない、というのが、舞台であるマンハッタンとこことの違いであるが。
# by sasakijo | 2010-01-11 22:21 | 日記

『大聖堂 果てしなき世界』

『大聖堂 果てしなき世界』(ケン・フォレット、ソフトバンク文庫)を読む。年末年始で、文庫上中下巻、約ニ千ページ。

『大聖堂』(The Pillars of the Earth)の続編ということになっているけれど、共通するのは舞台がキングズブリッジというイングランドの架空の町、ということだけ。時代は正編からおよそ二世紀あとの千三百年代。主人公たちは、いちおう正編のトム・ビルダー、ジャック・ビルダーの末裔たちという設定だけれど、その血筋自体は直接は物語に関わる要素ではない。そもそも主人公たちは零落した一族として登場してくるのだ。なのでこれは完全に独立した物語。

正編はまるで巨大なタペストリーのような物語だった。これに対して続編『大聖堂 果てしなき世界』(World without End)は、長大な絵巻物という印象がある。輪郭があり、下地の文様も明快な前者に対して、タイトルどおり巻を開いても開いても終わりが見えてこないような。主人公たちを何度も危機が襲い、予測もできない方法でその苦難から逃れると、また新たな危機。それが「果てしなく」と感じられるほどに繰り返される。

しかし、そのエピソードひとつひとつが面白く、時間を忘れて読みふけってしまう。十四世紀のヨーロッパに引きずりこまれる。百年戦争、ペスト禍、そしてじんわりと進行する市場経済。教会の堕落と、権威の喪失。

きれいごとの歴史小説でないのがよい。暴力、犯罪、戦争などの描写のリアルさはもちろん、性風俗、魔女裁判、公開処刑、修道士、修道女の同性愛、ペストがもたらした社会崩壊まで、ケン・フォレットはイギリスの中世社会をけっして美化して描かない。そこは性も排泄もない中世テーマパークのような世界ではない。日本の歴史小説を読み慣れた読者はたぶん、随所で嫌悪を催すことだろう。

しかし、それを含めて楽しんだ。ストーリー・テリングという技術についても、あらためて考えてみたくなる小説。

ケン・フォレットがもしこの次書くとすれば、それは産業革命を真正面から素材にする物語ではないだろうか。
# by sasakijo | 2010-01-07 21:54 | 本の話題